化学特講I(計算問題) のバックアップ(No.12)


夏期講習夏期講習/化学化学特講

設置校舎

  • 全校舎。

概要

  • 駿台の夏期講習の名物講座の一つ。
  • 上位層は是非受講したい。
  • 化学全分野の計算問題を網羅的に扱う。解法のマスターが目標である。
    • 理論化学の内容が全体の80〜90%を占めるため、理論化学の講座だと考えて良い。無機化学、有機化学に関係する計算問題も網羅しているが、基本的に自習対応になる。
    • 各解法は、化学の本質的な理解の上に成り立つ。問題の内容を掴んだ段階で自然に発想でき、ほとんどの典型問題に対応できる。応用範囲もかなり広い。
    • 各解法は、試験本番での実戦性が追求されている。問題の状況把握から答えに至るまでのプロセスがシンプル明快なものや、フローチャート化されているものばかりである。
  • 量的にも質的にも非常にハードな講座である。十分なレベルに達している人が十分な時間をかける必要のある講座である。
    • 非常に内容量の多い講座である。山下幸久先生曰く、「元々6日間講座だったものを編集して4日間に縮めた講座」らしく、そのことが起因している模様。
    • 要項のレベルも高い。高校化学の内容を丁寧に解説するものではなく、むしろそれらの内容理解は前提にして、解法の紹介を理論的に行う内容になっている。
    • 問題のレベルも高い。理論化学のハイレベルな演習に最適であり、『重要問題集』(数研出版)や駿台の前期教材などで、ある程度演習の経験値を積んだ人にはちょうど良いだろう。
  • 長年に渡り高く評価されており、やり込めば確実に力が付く。
    • 基本演習と演習問題を確実にマスターすること。これらだけでも重要な計算問題とその解法は大体カバーできる。
  • ボリュームも大きいが、得られるものはかなりある。入試の計算問題の95%はすぐに解法が浮かぶようになる。残り5%の難問も難問と見切れて自信を持って飛ばせる。
  • それ故に講師の腕が問われる・講師によって充実度に差が出る講座でもある。よく下の情報を見て選ぶこと。
  • 至難ではあるが、自習問題まで完璧にやり終えたならば、それ以上新しく参考書を買う必要はないと言っても過言ではない。授業の復習をして演習問題を繰り返すだけでも十分である。
  • 直前期まで重宝するテキストである。夏期までにこの講座を受けられるレベルに何としても持っていきたいところである。
  • 当たり前ではあるが、ノートかルーズリーフの持参も必要。

テキスト

  • 作成は石川正明先生。
  • 要項・基本演習・演習問題・自習問題からなる。
  • 要項には「解法の紹介」が書かれている。
    • その単元のポイントを図説でコンパクトにまとめたページと、詳説のページからなる。詳説には、解法をどのように導出するのか、どういう点で有用なのか、どのように使うのか等の説明が書かれている。
    • まずは詳説を読み、図説のページと対応させながら理解していくこと。図説のページのみでその単元の内容、流れを思い出せるようになると、復習の効率が非常に良くなる。
    • 詳説に載っているのは「教科書事項の丁寧な解説」ではない。そのような内容はある程度既知のものとして済まして理論的な解説をするため、ベースの学力がない人はまともに読めない。
  • 基本演習は、重要頻出問題くらいの意味であり、易しい問題から難しいものまで混在している。
    • 「難しい問題でも絶対にやっといて欲しいっていう問題は全部基本演習に入れときましたから、とりあえず基本演習と授業でやった演習問題を完璧にしてください。」「基本演習は簡単っていう意味じゃないです。これはやっとけっていう意味ですからね。」とのこと。
  • 演習問題は、その単元の最重要ポイントを含む問題であり、授業中に解説される。
    • 必ず予習で解いておくこと。事前に解いておかないと、授業中は板書を写すだけで精一杯になってしまう。要項と基本演習で解法を確認した後に、必ず取り組むこと。
    • 解答解説は付いていない。時間の都合上、授業で扱われないことが確約されている問題にのみ解答解説が付いている。
  • 自習問題は、余力のある人向けの問題であり、総じて難易度が高めである。
    • まずは基本演習と演習問題を確実にこなすこと。これらだけで重要な計算問題とその解法は大体カバーする。その上で余力があれば自習問題にも取り組むこと。
    • 自習問題まで全て解けるようなれば、化学の計算問題に関しては完璧と言えるレベルに達するだろう。至難の業だが、ここまでやり切れば、新たに市販の計算問題の本は買う必要はないと言っても過言ではない。
  • 毎年演習問題の半数を、偶数年度に基本演習・自習問題の一部を最新入試問題に変更する。
    • 収録問題の中心であるお気に入りの80・90年代の問題や定番頻出の先生オリジナル問題は変更しない。
    • 2017年度から別冊の解答解説がテキストに統合されて1冊になった。英語科竹岡広信先生の映像講座に匹敵する分厚さとなり、以前よりも使いにくくなった。一方で、印刷が綺麗になった。小さい文字も潰れることがなく、読みやすくなった。
  • 物理科入江力先生が「単位」の重要性を説いているという理由で本講座を絶賛する。

授業

  • どの講師も計算問題に臨む立場が非常に明確である。本講座を担当する講師はほぼ全員、以下の立場を共有している。
    • 計算問題とは「与えられた諸量を使って何らかの量を求める作業」を要求する問題である。この計算作業を行うには「与えられた諸量と求めるべき量との間の関係を示す式」が必要となる。
    • そしてその必要な関係式とは「単位あたり量の定義の式」と「ある自然現象について成り立つ関数関係式」の2つに絞られる。従って、計算問題にあたる時は、これら2つの式をまず確認するようにする。
    • また、解答プロセスで行われる実際の演算処理は「和・差・積・商のいずれか」である。そこで、比例法的な考え方ではなく、物理同様に「単位をしっかり確認しながら解く」ことにより、間違った演算を防ぐようにする。
  • 講座内容の量・レベル(質)の割に、講義の時間は非常に限られている。
    • 基礎的な事項の解説や基本演習の解法は予め教材中に詳しく与えてある。これらは必ず講義の前に読み、また解いて講義に出ること。
    • 授業は重要ポイントを中心に行われる。基礎的な解説をしてくれる講師もいるが、授業の比重は板書上での解き方の実演やテクニックの紹介などに置かれると考えておく方が良い。
    • 第1章の構造量計算と無機化学・有機化学の計算は自習扱いになる。また一部の演習問題についても自習扱いになる。
    • とにかく講座内容に対して解説時間が少ない。授業を延長する講師で取った方がよりじっくりと解説が聞けて良いかもしれない。
    • 朝の講座より夜の講座の方が延長の程度がやや大きめ。
  • 3、4日目に扱う平衡量計算が山場である。多くの人がここで一度躓く。
    • 3日目の酸・塩基平衡のセクションでは、まず質量作用の法則・マスバランス・電荷バランスの式を立て、次に強酸、弱酸、多価の酸などそれぞれの場合について近似を用いながら定量的に考察する。
    • 全体的な視点が取れずマスバランスや電荷バランスの式を立てられない人が多い。また、想定する場合分けが多いため混乱しやすい。さらに、近似を上手く理解できない/利用できない人が多い。
    • 4日目の溶質の二相間平衡の章も躓きやすい。ラウールの法則やヘンリーの法則、溶解度積など受験生が苦手とする内容がオンパレードである。また、複合系のセクションでは、ここまでで扱った内容を総動員しながら解く。
  • 化学の理解がおぼつかない人や、予習(要項+基本演習+演習)が不十分な人が受けても、ただ答えを写すだけの無駄な時間を過ごすことになる。
    • 効果を望むなら、5月の全国判定模試で理論分野がある程度取れていること、もしくは7月までに前期教材の復習(自習問題を除く)をある程度終えている人が良い。
    • 山下幸久先生曰く、「『化特I』はランク的に国産普通車をポルシェ(高級外車)にするようなもの。ボロボロの軽自動車の状態で受けてもほぼ意味はない」とのこと。
    • 星本悦司先生曰く、自信がない人は通期テキストの章末問題を確実にモノにしていくのでも十分とのこと。
  • 化学の内容がある程度理解できているなら、予習(要項+基本演習+演習)はそこまで重くないと感じることができる。
    • 前期の内容がしっかり理解できていれば、それを復習しながら解法を学んでいく形になるので、受講のハードルはかなり下がる。
    • ただし、分量が多いので、授業までに予習を間に合わせるのはやはり大変であろう。また、平衡量の単元は重たいので、油断せず心して掛かると良い。

担当講師

  • 自分のレベルに合った講師、もしくは見知った講師で取るのが望ましい。
    • (教科書事項や)テキスト記載事項などの確認を手厚く行う講師もいる。一方で、解法の使い方や応用範囲など、実戦的な解説に時間を割く講師もいる。
    • 考え方や授業の仕方は先生によってかなりクセがある。そのため、校内生は初めての先生ではなく、通期の先生(特に『Part2』の先生)で取ることを考えても良い。
  • 大前提として、この講座が受講者に求めるレベルは高めに設定されていることをお忘れなく。
    • 駿台学力判定模試などで結果が出せていなかったり、前期の教材(自習問題は除く)をマスターできていない人は、受講に注意を要する。
    • いくら(教科書事項や)テキスト記載事項に触れるとはいえ、基礎学力がボロボロの人の受講は想定されていない。その辺りの解説はあまり期待し過ぎない方が良い。
    • 背伸びして受講する人は特に、自分のレベルに合った講師や見知った講師で取るべき。あるいは予習を手厚く行うなどの対応をしておくべき。そうしないと確実に死亡するだろう。
  • 講師に拘ることよりも、テキストに書いてある解き方を身に付けて、参考書として本番直前まで活用することの方が重要であり、先生もそう願っている。
    • 数学特講(III)【HG】』などとは違い、本教材には丁寧な解説が付されている。基礎学力に不安があったとしても、少し背伸びするくらいであれば努力次第では大丈夫だと思われる。
    • 直前期まで重宝するテキストである。背伸びして届きそうなら是非受けておきたいところだが、それに見合う努力量を必ず担保すること。
  • 厳しそうであれば、『化学頻出問題』などの基礎・標準的な講座を優先した方が良いと思われる。

各講師の授業

石川正明

京都校大阪校名古屋校京都南校を担当。

  • 必ず締め切る。師の講座でも特に締め切る。
  • 時間割からもかなりの重厚な内容の講座であり、化学の計算問題を初めてやる人や苦手な人向けの講座ではなく、中上級の講座。
  • 口頭説明は、あるのとないのとでは後から見返した時の分かりやすさが段違いであるため必ず書き留めておこう。
  • 「『俺、夏期で理論計算化学を極めちゃおうかな』→化学が得意でない(≠苦手)生徒が師の夏期の『化学特講I』を取る→理解出来ず自爆→2日目以降出席しない→師の高度な説明のせいにする」というパターンが毎年多い。
  • 大学入試で出る標準レベルの計算問題はすんなり解ける実力がないとついていくのは厳しい。参考に駿台全国模試(第1回の成績でOK)で最低でも偏差値60~65以上は獲れる受験生が好ましい。
  • 山下幸久先生の授業もそうだが、受講者のうち1人でも前後に授業が入っていると、その時間延長はできなくなり、100人超えの他の受講者の迷惑になる。前後には授業を入れないように。

山下幸久

京都校京都南校大阪校福岡校を担当。

  • 理論が苦手であるが、石川正明先生で本講座を受講したのと同レベルに到達したい人向け。
    • 大量のプリント(毎回10~15枚)を用いて授業する。プリントには基礎知識も記されており、授業でも「ある程度は」触れてもらえる。また、最終的には高いレベルの内容にまで踏み込んでいく。
    • 師は「夏期は計算化学の講義をするラストチャンスである」、「夏期に講座を取る=ある程度苦手である」という認識を持っている。そのため、ダイジェストではあるが、構造論を除く全ての理論範囲の授業を行ってもらえる。特に、酸・塩基や気体法則の範囲にしっかりとウェイトをかけてもらえる。
    • 本講座は上級者向けの講座であるが、やや苦手な人向けに授業を行う。そのため、石川正明先生に比べると受講時点で要求される学力レベルはかなり低くなる。一方で、ある程度できる人の場合、講義は冗長でやや物足りなく感じるかもしれない。
  • 授業は【スーパーHG】化される。
    • 夜のコマの場合、遠方の人は帰宅時間と交通手段に注意しておこう。22時まで延長は普通で、(近年はあまり聞かないが)過去には終電を跨いだという事例も。しかし、それでも演習問題を全て解説し切ることはない。
    • 受講者のターゲット層が広い。授業内容もレベルのカバーレンジが広く、その分プリント量が膨大である。解説に非常に時間がかかり、自習に回る部分もかなりある。しかし、化学が苦手でも「頑張れば」高いレベルまでモノにできる。
    • いわゆるmol計算に大部分(2日間ほど)の時間をかけ、後ろのページにある気体法則、蒸気圧、熱化学を優先的に解説した上で残りの時間(夜講座なら4日目の19時以降とかそのレベル)で許す限り平衡の解説をするといった時間配分。
    • 延長前提であることは意外と周知の事実でないらしく(特に現役生)夜の授業にて授業終了後に自習していた友達と食事に行く約束をしていた人がいたが結局どうしたのだろうか…
    • 連続で四日間5時間近くの授業を受けることになるので他の勉強計画だけでなく体調管理にも万全の体勢を払うべし。
  • 京都地区では石川正明先生担当分以上に取りづらいことも。
  • 基本的に締め切る。
    • 滅多に締切講座の出ない福岡校でも例年締切となる。

岡本富夫

大阪南校神戸校西大寺校名古屋校を担当。

  • 理論化学分野・解き方の解説に定評のある師の真価が最も発揮される講義であると思われる。
  • 手書きの板書プリントを用いて、「板書とテキストで重要事項をマーカーを使いながら確認→その§の演習問題解説」という流れで授業を進める(ノートは不要)。
    • テキスト内で師が生徒には難しいと感じた場所は具体例を挙げ、二元中継的に分かりやすく説明してくれる。そのため、理論があまり得意でなくても付いて行くことができる。
    • 通期で師の授業を受けていない人も十分に内容を理解することができるはず。また、通期で受けている人にとっては再度解法・知識の確認をすることができるので良い。
    • テキストに補足したメモや師のお手製問題解説プリントは、復習の際にとても役に立つ。
  • あまり延長しないため遠征もしやすい。
  • 締め切ることがある。

星本悦司

師の意向により記載はしない。

白井康寛

名古屋校神戸校茨木校を担当。

  • プリント授業。テキストには記載されていない基礎知識を中心に授業する。
  • 日常生活における例えを出しつつ丁寧に説明する。問題解説よりも要項説明を重視する。
  • 演習問題は一般的解法、上級者向けの解法という順で進められる。なので、必ず、テキストを見て自分のレベルと相談すること。
  • 初日から【準スーパーHG】(4.5コマ/日)化はご愛嬌。理論があまり得意でなくても付いて行くことができる。が、授業自体がものすごく早いので知識的な面では総復習という感じになる。

高田幹士

京都南校大阪南校西宮北口校広島校を担当。

  • 板書プリントを用いてある程度基本的な内容から説明される。
  • 石川正明先生や山下幸久先生と比べても、情報量は引けを取らず、あまり延長しないため遠征もしやすい。頻出分野の解説は丁寧で、苦手な人にも分かりやすい。
  • 石川正明先生の教え子なので、考え方などは石川正明先生、山下幸久先生とほぼ同様。
  • プリントは師の通期と同じレイアウトで90ページ程に及ぶが、1枚1枚の密度が白井康寛先生等より薄いため、復習の際もそれほど苦にならない。
  • 西宮北口校広島校では締め切る可能性がある。

伊達正人

大阪校丸の内校浜松校を担当。

  • プリントが丁寧。
  • 計算問題は段階を踏んで進める。

吉田隆弘

広島校を担当。

  • やはり計算分野に定評がある講師。
    • その場でベストな速くて自然な解法を用いる。
  • 基本事項は頭に入っており、基本演習はもちろん演習問題の予習をして来ていることを前提で進める。
  • 基礎から丁寧にというわけではないので、説明が理解し切れず消化不良になる生徒が少なからずいる。
  • 当たり前であるが寝ているとブチギレて授業が止まる。周りのためにも眠気対策等しっかりしておこう。
  • 基本的にプリントを使わず、板書が中心。口頭説明が少し多い一方で深い内容に触れつつ授業を行う。
    • 18年度は両面刷りのプリント2枚を用い、他は板書だった。
    • 師に限った話ではないが、深い内容に触れるため、基本が出来てない人は師で取るべきでない。確実に拘束時間となり、なおかつ不真面目な態度を指摘され、公開処刑される可能性も。
      • しかし、化学の本質・計算問題の本質にかなり触れるため中級者から上級者は得るものが多い。
  • 各日20分程度の延長をし、最終日は1コマ増える。
    • そのため、遠征の場合は泊まり覚悟で。ただ、遠征してでも受ける価値はある。
  • 特にドルトンの法則、ヘンリーの法則の説明から問題解説は圧巻の一言では言い表せないほど素晴らしい。
    • 平衡論において、師なりのキーワードを理解できれば、平衡論は全て同じ問題に見えてくる。
  • 筆者は師の授業が1番だと思っている。
  • 首都圏では5講座(お茶の水2、横浜2、あざみ野1)を担当。
    • 首都圏では続々と締め切りとなっている超人気講師。

松浦寛之

※書き加えお願いします。

岡哲大

  • 知識の確認多め。超基礎的な内容だけで解答を導く。

片山雅之

  • 手書きの板書プリント
  • 計算問題のテクニック・重要事項の整理をする。

まとめ

  • 情報量が非常に多いので、殆どの講師が多くのプリントを使用する。ファイルなどを用意しておくと良い。
  • なお医学部については、上記の講師なら医系化学にも精通しているので、好きな講師を受ければ良い。迷ったら医系クラスの担当講師や、直前講習の医科系単科大学の講座の担当講師を選ぶと良い(岡本富夫先生・星本悦司先生・白井康寛先生・山下幸久先生など)。

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