東大入試実戦模試 のバックアップの現在との差分(No.2)


概要

  • 8月と11月の2回実施。それぞれ2日連続で行う。
    • 8月開催のものは全国の東大模試で唯一、実際の試験時間で行われる模試である。
    • 現役生の習得範囲に配慮しつつ、第1回と第2回の両方で高校全範囲を網羅することになっている。
  • 関東の講師陣が作成している。東大入試詳解シリーズ執筆陣とほぼ同じと考えて良いだろう。
  • 河合塾実施のオープン模試と比べて難易度が高く、復習する価値は高い(特に理系科目)。
  • (駿台のどの模試にも言える事だが)本番での的中を狙うと言うより、「受験生の弱点分野や欠落しがちな思考経路を暴き出す」という教育的側面に作問姿勢の重きが置かれている。
  • お茶の水3号館では、第1回受験者を対象とする夏期講習実戦・東大英語』『実戦・東大理系数学』『実戦・東大文系数学』(いずれも2日間講座)が設置されている。英語の担当は増田悟師・駒橋輝圭師、数学の担当は理文共に雲幸一郎師。
  • Z会には、東大実戦受験者対象のブラッシュアップ講座が用意されている。価格は税抜き3000円。
    • 夏は、英語(自由英作文)と現代文の添削指導・雲幸一郎師による数学(理文別)の発展講義が受けられる。
    • 秋は、英語(要約)と現代文と地歴論述(1科目のみ)の添削指導・雲幸一郎師による数学(理文別)と森下寛之師による物理と吉田隆弘師による化学の発展講義が受けられる。
    • 2020年度夏のブラッシュアップ講座は英数の添削指導のみとなった。
  • 2019年度より、Z会と共催に。これに伴い、 Z会のホームページで本模試受験者限定の解説講義動画が配信される。担当講師は次の通り。

2019年度第1回

科目担当講師
英語
英語増田悟
理系数学雲幸一郎
文系数学森茂樹
理系現代文霜栄
文系現代文
古文
古文松井誠
日本史
化学中村雅彦
生物佐野芳史
日本史福井紳一
世界史渡辺幹雄
地理宇野仙

2019年度第2回

科目担当講師
英語
英語増田悟
理系数学雲幸一郎
文系数学森茂樹
理系現代文霜栄
文系現代文
古文
古文田畑千恵子
日本史
生物佐野芳史
日本史福井紳一

科目別の特徴

英語

  • 最新年度の出題形式をそのまま踏襲する河合塾オープン模試と比べると問題の質がよいため、評判は良い。
  • 竹岡広信師は「傾向と対策を追いかけたり、解法を体系化して覚えたりすることは、東大が最も嫌っていることだ」として、模擬問題全般をボロカスに批判している。
    • 模擬問題の作り込みの甘さにも、否定的な意見を述べていらっしゃる。
    • 「君らさ、もう、オープン実戦なんかボイコットしたったらええねん」(高3エクストラ英語αにて)
    • 英作文の答えは、高3エクストラ英語αの作文添削を担当するネイティブが作ったものを配り直していただける。
    • 特別な知識を必要とせず真の実力を測れる過去問の質の高さを踏まえて、「過去問を使って学力を伸ばすように」と常々おっしゃる。
    • 上記のことは、竹岡師執筆の『東大の英語27カ年』にも書かれている。

数学

  • 数学も良質と言われている。
  • 理系では、たまに、難易度調整をミスったかのようなとんでもなく難しい問題が出題される。
  • 文系ではそれほど難しい問題は出ず、基本がしっかりしていれば45点くらいは取れる作りになっている。

国語

  • 現代文の評判は良くない。
    • 中野芳樹師は「あんなもん復習せんでよろしい」とまでおっしゃる。
    • 東大実戦に限る話ではなく、現代文の模試全般についてそうおっしゃるのだが、特に東大実戦については強くおっしゃっている。
    • 詳しくは『東大現代文』を参照。
  • 古文漢文は良質と言われている。
    • 前田春彦師は、出題された素材文には違和感を示しながらも、復習する価値があるとおっしゃる。
  • 前田春彦師は、出題された素材文には違和感を示しながらも、復習する価値があるとおっしゃる。練習しようです。なのである。

日本史

  • 福井紳一師らが作成。
  • 関西の日本史科講師陣からの評判は悪い。
    • 鈴木和裕師は、過去問研究を優先するように仰る。
    • 須藤公博師や塚原哲也師は、問題の質や傾向に対して批判的な意見を持っておられる。
  • 知識偏重だとする批判がある。
  • SNSで福井紳一に対する批判もあったが、少なくとも2016年夏は一問も作題には関与していないようである。

世界史

  • 世界史には賛否両論がみられる。
  • 肯定的意見は以下のとおり。
    • 第1問は何度か的中しており、関東の駿台世界史科講師陣の研究の深さが窺い知れる。
    • このことについては、渡辺幹雄師いわく、「東大の先生とフィーリングが合った」。
    • 関東の世界史科は東大プレ世界史でも第1問を的中させている。
    • 渡辺師は、的中を期待するのではなく、過去問、実戦模試や講習テキストを研究して幅広い網を張っておき本番に備える姿勢が大切だと強くおっしゃる。何が出ても大丈夫という状態でなければ、東大合格は難しいだろう。
  • 一方で、関西の世界史科講師陣からの評判は悪い。
    • 中谷臣師は自身のブログで実戦模試河合塾オープン模試の質の悪さを痛烈に批判し、過去問の研究を第一にするようおっしゃっている。
    • 川西勝美師は、2019年度秋の第1問でBrexit(イギリスのEU離脱)を指定語句としていたことについて、「先行き不透明な未来の出来事について出題するのは歴史の試験としておかしい」と批判していた。

地理

  • 過去問と比べると知識偏重である。
    • 過去問のような精巧さが見られず、過去問特有の「問いの連動」も見当たらない。
  • 解答例も評判があまり良くない。
    • 東大が求めているであろう多角的・多面的考察を踏まえた解答とは、およそ言い難い。
  • このこともあってか、難易度は本番の試験よりも高めである。
    • 2019年度の秋は、特に難しかった。3号館での最高得点は35点だった模様。
  • 宇野仙師は「過去問の研究で東大特有の入試問題に慣れるように」とおっしゃる。

物理

  • 難易度は本番と同じくらいであり、問題も良質なものが多いため復習する価値が大いにある。
  • 第一回は力学、波動、電気、第二回は力学、熱力学、電磁気から出題される。東大は浪人が嫌い、入って欲しくないという考えのもと原子物理をださないことになっているが実戦では第二回でまれに出題されることがある。

化学

  • チーフは中村雅彦師
  • 昨年度の傾向を受け継いだ問題設定となっている。本試にも言えることだが東大化学は時間との勝負であり、問題自体は大学受験のなかで簡単な部類に入ってくる。ゆえに本番の練習として活用する価値はあるが復習する価値はない。化学の新演習、化学S程度のテキストの大半が理解できて計算力があれば45点を切ることはまずない。化学に関する思考力を鍛えるならば京都大学や京都府立医科大学の問題がおすすめである。
  • 平均点は25点前後だがこれは現役がまだ完成していないからである。いうまでもなく本番0点を切ったら即死である。理科一類、理科二類志望であれば40点、理科三類であれば47点前後を目指すのが良いだろう。

生物

  • チーフは佐野芳史師

地学