過去問
Sat, 10 Apr 2021 03:28:57 JST (1322d)
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- 実際に入試で出題された問題の事。「模擬問題」と対比してよく言われる。
特徴
- 入試問題は社会的責任が問われやすく、また受験生の学力が適切に測れるように、大人数で長時間かけて作られている。
- 過去問の活用法や、過去問を使って勉強する時に心がけるべきポイントについては多くの見解があるが、その中でも複数の人々の間で一致している見解というものはある。まず、そういった見解をいくつか紹介する。
- 一つ目は、よく練られた過去問からはその学問の美しささえ読み取れるという点である。
- 例外もあるが、少なくとも東大・京大を始めとする伝統ある名門校の過去問は目を見張るほどに良質なのである(近年は東京一あたりの入試問題の劣化が話題になることもあるが、大抵の場合はやはり良質であることは変わらない。どのような問題が悪問・奇問なのかは、青本や講師から情報を得て避ければよい)。
- 十分な実力のある生徒ならば、安直に過去問の出題傾向を追いかけるのではなく、良い過去問を通じて学問の美しさに触れ、その知見を自らの学力に還元するというハイレベルな営みを心がけよう。とはいえこれは独学ではなかなか難しいことなので、講師の授業や質問を良問の演習に役立てると良い。
- とはいえこれは理想論であり、たとえ実力ある生徒であっても「学問的美しさの事など今は気にしていられない」という現実に直面することがあるはずなので、その時は良問を味わうことのみにとらわれない過去問の使い方をしよう。
- 受験生にとっては学問とはあくまで大学に入ってから本格的にするべきものであり、受験生の間は学問的美しさに過度に気を取られすぎて本末転倒に陥ったりしないように。
- 二つ目は、過去問には出題者の「このような人にこそ我が校に入学してもらいたい」という意図が隠れているという点である。
- 時と場合によって大学が欲しがる学生のタイプが変化することも多く、このような変化は「出題傾向の変化」として受験生の前に立ちはだかる。過去問は決して学問的知見だけで構成されているわけではない。
- 出題傾向が大きく変わった例では、近年の京大英語などが特に有名。
- 漫然と過去問を解いているだけだと「過去問慣れし過ぎて、本番での急な傾向の変化に対応できず失敗した」なんてことにもなりかねない。実際こういう失敗談は時々聞かれる。
- 各大学の「我々はこのような学生を入学させたい」という思惑を読み解く「だけ」なら、多くの学校については何十年分も過去問を演習してもあまり意味がない(最大でも10年分くらいが目安)。ただし1つ目に挙げた、"良問を解いて学問を味わい、自分に還元する"というポイントについては、古い過去問でも十分に意義がある。
- 逆に、出題者側が一般には入手しにくい古い過去問から題材を取って再出題することもあるのだが、再出題狙いのために何十年分も過去問をやっても時間と労力が効果に見合わないことが多く、ギャンブル性が高いやり方ではある。この目的に講習会を利用するのも一つの手だろう。
- 一つ目は、よく練られた過去問からはその学問の美しささえ読み取れるという点である。
- ここまで説明したように、過去問には大学教員の専門分野の知見や、大学それ自体に関する数多くの情報が含まれている。その一方で、模擬問題の多くは多忙な予備校講師が少人数かつ短期間で作り上げるものなので、あまり質が良くない。傾向と対策を適切に踏まえきれていなかったりする。
- 傾向と対策の研究や慣れるための演習には「過去問」を、演習量の不足分は「模擬問題」を使うのが普通である。
- ただし、資格試験とは異なり、過去問がズバリそのまま再出題されることは少ないので、解答を暗記するのではなく、過去問からエッセンスを抽出して応用できるようになることが必要となる。
- この作業は独学では難しいので、多くの受験生が講習会などを利用する。
- 過去問の使い方(解くべき量、解き始める時期など)については人によって様々な意見がある。また、ある人にとって効果的な使い方が他の人にもあてはまるとは限らない。「一般的に誰にでもあてはまる最適な使い方」は存在しないと言っても過言ではない。
- 和田秀樹氏や佐藤ママが過去問の利用法を書いた受験本を出している。
過去問集
赤本
- 教学社が出版している。表紙が赤いためこう呼ばれる。
- センター試験と大学別の過去問を収録している。
- 大学別過去問では、有名大学からマイナーな大学まで多数取り揃えている。恐らく全ての受験生がお世話になるだろう。
青本
- 駿台予備学校系列の駿台文庫が出版している。表紙が青いためこう呼ばれる。
- センター試験と一部の難関大学+駿河台大学の過去問集が出版されている。
- センター試験は5年分前後しか収録しておらず、赤本&黒本に大きく劣る。
- 大学別過去問はいわゆる難関大学(+駿河台大学)の物しか発行していない。
黒本
- 河合塾系列の河合出版が出版している。表紙が黒いためこう呼ばれる。
- センター試験の過去問しか出版していない。
- 大学別過去問は
意外にも出していないが、オープン模試の過去問を収録した『入試攻略問題集』(紫本)の前身の『直前問題集』(~1985年)『入試予想問題集』(1986~1993年)は、「入試問題編」として近時の過去問も模範解答付きで収録していた。
白本
緑本
- Z会系列のZ会出版が出版して
いるいた。表紙が緑色のためこう呼ばれる。 - センター試験と難関大学の過去問を出版していた。
- 解説がそれなりに詳しく、赤本や青本ではなくこちらを利用する生徒もいた。
- センター過去問は『センター試験 過去問 英数国』(英数国10年分)と『センター試験 過去問 オール14(後、オール15)』(全科目3年分)の2種類があった。
- 平成26年度を目処に出版を停止した。
- 難関大学の大学別の過去問集『入試問題研究』もあった。
- Z会自らグリーン本と称していた。
緑本(東進)
黄本
- 正式名称は『角川パーフェクト過去問シリーズ』。KADOKAWA学習参考書編集部が出版している。
- 2020年現在、一般流通ルートで簡単に入手できる難関大学の過去問集はほぼ赤本・青本とこの黄本のみである[要出典]。
- 2018年秋から刊行がスタートした新しいシリーズ。現在のところは極めてマイナーな存在であり、赤本・青本の牙城を崩すには至っていない。
- 今時らしく某東大生クイズ王やそのYouTubeチャンネルを宣伝に起用しているが、効果は出ているのだろうか。
- センター対策参考書の方の黄色本とは別シリーズだが、同じく表紙が黄色いためこう呼ばれる。
- 角川も広告などで「黄本」という呼称を使っている
が、「黄色本」の方が明らかに言いやすい。
- 角川も広告などで「黄本」という呼称を使っている
- 現在刊行されている学校・学部は少ない(2020年2月現在、早稲田・慶應・明治・法政・同志社・立命館のそれそれ一部の学部のみ)が、今後早慶・GMARCH・関関同立などの学校を中心に種類を増やしていく方針を明らかにしている。
- 赤本・青本との差別化のためか、既存の過去問集と大きく異なっている点が多い。
- カラー印刷で色を多用した紙面構成、コピーしやすいB5版印刷、記述解答用紙が巻末に付いている、など。
- かなりカラフルなので若干目がチカチカする。ここで好みが分かれるかもしれない。
- 全体的に赤本よりも解答・解説が詳細で質も良いが、収録分量が過去3年分とやや少なめなのが欠点。
- 正攻法と時間短縮用の解法を両方載せたり、大問ごとの難易度や時間配分の目安を掲載しているなど、解説はかなり懇切丁寧である。
- 過去問解説の皮を被りつつも一般の受験参考書のような雰囲気がある。
- 執筆は駿台・河合塾・東進・代ゼミの講師などが担当している。駿台からは関東の講師が多く参加している。