数学XS
監修講師
小林隆章先生を中心に、雲幸一郎先生、森茂樹先生、長崎憲一先生、鹿野俊之先生が合議で監修。
使用コース
構成
前期
- §1ベクトル、三角関数と図形
- §2平面図形と式、数列、数学Ⅱの微積分
- §3論理、多項式、指数・対数
- §4整数、場合の数、確率
- 講義問題解答
後期
- §1ベクトル、三角関数と図形
- 補充問題
- §2平面図形と式、数列、数学Ⅱの微積分
- 補充問題
- §3論理、多項式、指数・対数
- 補充問題
- §4整数、場合の数、確率
- 補充問題
- 補充問題解答
- 講義問題解答
概要
- 『数学ZS』よりもシャープな問題が多い。
- 実績のあるテキストである。
- 目標レベルは東大、京大、阪大、東工大、旧帝医、単科医などの上位国公立大だが、実際のところはかなり東大寄りに作られている。後期になると東大の過去問が多く見られ、この傾向は顕著になる。関東の駿台自体が東大を意識しているので当然かもしれない。講師によると年々問題のレベルが下がっているらしいが、実際は2年ごとに全く同じテキストを使い回している。
- 『数学XB』とは異なり、要項などは掲載されておらず問題と各設問毎のポイントが掲載されているくらい。
- 特に前期テキストは良く出来ていて、夏に何度も復習すれば確実に力が付く素晴らしいテキスト。
- 作成者の小林隆章先生は「前期教材の問題は入試問題として考えると簡単過ぎるレベル。この教材を使って単に問題の解き方を覚えるのではなく、その問題のテーマとなっている数学的な事柄を基礎から正確に身に付けることが大事。」といった旨を述べているようである。
- 前期はそれほどでもないが(とは言え、前期からサラッと東大、京大や他旧帝大の過去問が含まれている)、後期になると重たい問題が多くなる。
- 前期テキストについている自習問題や設問毎のポイントは後期テキストにはなく、ただ問題の羅列になる。
- 後期テキストでも難しい問題を通じて「当たり前」の確認をしていく様相なのだが、問題に変な癖がある気がする(定番の難問なら問題集でやれば済む話だけれども)。
- 特に§2や§3。どちらが難しいかは個人の相性や年度による。
特徴
- 三森司先生によると「駿台は前期ので基礎は十分とか馬鹿なこと言ってるけど、前期は簡単過ぎて後期は難し過ぎるんだよ。」とのこと。また、「問題についてる誘導も適切に思えない(最適な誘導とは思えない)。」とも仰っていた。
- 後藤康介先生によると「テキスト初版の頃は各分野にテーマのある素晴らしいテキストだったが、よく分からん編集や問題を加えてしまったせいで昔程良くないんだよ。今でも素晴らしいけどね。」
- 『数学XS』だけではやや演習量に欠ける感は否めない。夏期は本教材の復習だけでなく、講習や市販の参考書を用いて新しい問題にも触れること。
- 『数学特講(IAIIB)』の講義問題と研究問題が本教材の演習量の補充に最適である。
- もちろん、費用や時間などを踏まえれば市販の問題集を使う方が良い。
- 関東作成のテキストなので「お茶飲みwiki:数学XS」も参照すると良い。
おすすめ参考書
- 数学が得意で他教科の学習にも余裕がある受験生には以下の参考書を併用すると学習効果が高くなるだろう。
『数学精選問題集 良問マルシェ 数学I・A・II・B』
松永光雄師と八木祐一師の共著。典型問題を確実に取り切ることを目標としている。タイトルに違わず、良問揃いなので、下記の問題集に取り組む前段階としてちょうどよいだろう。
『ハイレベル数学IAIIBの完全攻略』
杉山義明師と米村明芳師の共著。丁寧な解説と1つの問題から派生する豊富な演習問題が特徴。夏期講習『数学特講(IAIIB)』をベースに作られている。難度は若干下がるが、問題選定はかなり似ているので演習に良いだろう。
『テーマ別演習①入試数学の掌握 総論編』
『テーマ別演習②入試数学の掌握 各論錬磨編』
『テーマ別演習③入試数学の掌握 各論実戦編』
数学力を極限まで鍛えたい受験生向け。表紙で「君の数学力を理Ⅲ・京医・阪医合格レベルに導く究極の指南書」と述べられているように、本来は理系上位層向けに作られている。ただし、扱う分野は数学IAIIBが大半なので、数学が本当に良くできる文系の受験生のさらなる飛躍に繋がるであろう。中途半端な実力では確実にオーバーワークなので注意しよう。