微積物理 の変更点

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-物理学とは自然界にみられる現象にはたらく普遍的な法則を解析して理解する学問である。
-一方、微積分学とは瞬間的な変化量や総合的な変化量を数式として体系化するのに非常に有用な数学のツールである。
--そもそも微分の定義自体が瞬間的な変化量を導出することであり、積分((ここでは一般的な区分求積法による積分、つまりリーマン積分について述べる。))の定義自体が微小部分の総和を元に変化の総合量を導出することである。
---しかも微分積分学の基本定理によりこれらは互いに逆の演算であることが言える。
-この微積分を用いて物理現象を体系的に説明する手法を「''微積物理''」と呼び、大学で物理を学ぶ場合は''確実にこの方法を用いる''。
--そもそも微積分学は物理現象の解析のために発展した数学の分野であるから当然である。
--「微積物理」という単語を聞くと、あたかも「微積を使わない物理」が存在しているようであり''きわめて奇妙な言葉''である。
-高校の物理では微積物理を一見使用していないように見えるが、実は微積は無意識に扱っている事が多い。
--微分を使わないとどうしようもない場面では、高校教師や一部の大学入試問題はΔ(デルタ)を用いて近似を使ったり微分係数を定義から求めさせることで切り抜ける。これは高校生に一見微分を使っていないように見せるためである。
---数学で例えると二次方程式について解の公式を使わずにわざわざ平方完成してから解いているようなものである。
--『難問題の系統とその解き方』で有名な服部嗣雄先生は、微分ではなく有限の増分を使用して講義を行っていた。
---実際、増分を微小化することで微分方程式が成り立ち、これを元に積分を行う。関数y=f(x)が連続でΔxが0に収束可能であれば、増分を用いた式は微分可能であり、増分Δx、Δyなどを用いて立式することは、微分の記号dx、dyと∫を用いずに微分方程式を扱っているのと同じである。
-微分は数学でとっくに整備していることであり、高校物理は数学の複雑さを避けているように見えて、実は全然避けられていない。ゴチャゴチャと誤魔化しているだけである。
-化学における「[[電子論]]」と同様、高校まででこの手法を経験しなかった人は大学物理で躓きやすい。
-電子論と同様に各項目を深く理解しながら学習を進めていくため、予め微分方程式を解くことに慣れており、さらに物理現象の全体像が掴めていないと付いて行くのがやや大変ではあるが、理解が負担に変わらない学生であれば実力がしっかり養成され、解析的な理解により深い満足感が得られる授業になっている。
--また物理の本質を突いた考え方なので、大学や物理系企業や電化系企業でも通用し、長い目で見ても非常に役立つ。
-[[派閥]]の項にもあるが、関東物理科は権威である故坂間勇先生、[[山本義隆]]先生の方針の下、この微積物理を積極的に用いる講師が多いが、関西物理科は「生徒が訳も分からず数式を振り回す危険がある」として、どうしても微積が必要な場合を除いて微積物理を忌避する先生が多い。
--関東でも微積分を用いるという強制的な指導方針があるわけではなく、実質、各講師の裁量に委ねられている。
--関西でも山本義隆先生を強くリスペクトする一部の古参ベテラン講師などは微積物理を積極的に用いる。
---具体的には新田克己先生、中田俊司先生、斉藤全弘先生、松井康人先生、入江力先生などである。上位層は強く支持する一方で、全体的には好みが割れる傾向がある。
--関東では微積物理派講師の方が(特に上位層の)生徒からもてはやされる傾向がある。
-上記した関西物理科の趨勢からか、ライブ授業で微積物理を行う講師は少ないが、映像授業は関東の物理科の[[森下寛之]]先生が担当のため基本的に微積物理を使った説明手法を取る。
-要するに、関西物理科の微積物理を使用しない先生の方針は大学まで待てということであるが、余裕のある生徒は少し学習しても良いかもしれない。山本義隆著の『新・物理入門』がオススメ。
--『新・物理入門』は難解であるので、いずれも駿台講師の著作ではないが、『図解入門 微積で楽しく高校物理がわかる本』(秀和システム)、『微積で解いて 得する物理―力学/電磁気学がスラスラ解ける』(オーム社)、『微分積分で読み解く高校物理』(中経出版/KADOKAWA)、『秘伝の微積物理』(朝倉書店)なども導入として良いだろう。
-なお、大学受験における「微積を使わない物理」の第一人者は代々木ゼミナールの為近和彦先生とされているが、関西物理科への影響は皆無である。