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-執筆者は渡辺幹雄(第1問担当)、茂木誠(第2問担当)。 -1989年以降の第1問(大論述)と第2問(小論述)の東大過去問とその解答・解説が、テーマ別に再編成されたうえで掲載されている。 --なお、問題は一部編集されている。 --第3問は一切載っていないので注意。 --大論述に関しては青本よりも説明は簡潔にまとまっているが、その代わり知識的な説明は青本より薄めである。 --また、大論述、小論述ともに問題により解説の量はかなり差がある。 --大論述は駿台世界史科基準の加点ポイントに基づきながら解説されている。 -1989年以降の東大の大小の論述問題を一旦ばらばらにしてテーマ別に再構成し、東大の出題者の「世界史観」「歴史観」を明瞭に浮かび上がらせたうえで、この「視点」をいかして問題を分析・解答例を提示した参考書である。 --経済史的視点(世界システム論、派遣国家の交代、農業と土地制度、人口変動と移民)、国家論的視点(帝国の盛衰、主権国家体制の展開、国家と宗教、植民地と民族問題)、異文化間の交流、特定地域の通史などが主な切り口である。 -この参考書には賛否両論ある。 --否定的な意見には以下のようなものがある ---アマゾンのレビューをみてみると、(特に第一問の大論述に関して)問いと解答が対応していない・論点がずれているという批評が多く、また知識偏重であるなどとも評価されていて、否定的な意見はすくなくない。アマゾンでの批評と、下記の肯定的な意見とをくらべてどちらが説得力があるか検討するのも一興だろう。 ---関西駿台の中谷師もブログで本書を痛烈に批判している。 ---受験生の中でも評価は真っ二つである。 --肯定的な意見は以下のようなものである。 ---世界システム論が紹介されるなど、東大の求める視点を示している点では、他の東大過去問と比べて優れているといえる。 ---赤本や他の会社が出している問題集の解答と比べることで知識の整理ができる。いろんな解答があったほうが学習がはかどるという意味ではこの参考書は有用。青本に関しては2000年代前半までの執筆者は大岡俊明師であるので、見比べてみるのも良いかもしれない。 ---また、なんだかんだいって自己採点のできる論述問題集は少ないので、この本は有用である。 ---赤本と違い、テーマ別にまとまっているので、これから東大対策を始めるひとには取っ掛かりやすい。 ---現在では手に入らない青本の解答が手にはいるのは貴重 --渡辺師本人は「本書の解答を叩き台にしてほしい。」ともおっしゃている。渡辺師のいうことは正論である。 -賛否両論あるとはいえ、最後にひとつ大事なこと付言しておきたい。 --完璧な答案は問題作成者ですら作れない(たとえ公表しても確実になんらかの批判はされる)のであるから、さまざまな欠点を比べることは無意味である。Z会や河合、赤本などと本書を比べ、解答に共通する要素(はずしてはいけない部分)や考えを捕らえることが何よりも大切である。 --人文科学的な観点からいえば、だれがやっても賛否両論がでるのはいたしかたないところであり、いたずらに否定的な意見を妄信するのは考え物である。 -要するに、''どんな教材でも上手に扱えなければいみがない''ということ。