新・物理入門 のバックアップ(No.1)


概要

  • 初版は1987年で、今や大学受験参考書の古典的名著である。
  • それまでそれなりに人気のあった『必修物理』を駆逐し、絶版に追い込んだと言っても過言ではないかもしれない。
  • 内容は、山本義隆先生の講義の物理の理論解説そのものである。
  • 高校で扱わている物理について、ときにきちんとした理解を促すために大学の教養課程にまで踏み込んだ解説をほどこしている骨太な参考書。
    • マクスウェル方程式、角運動量、ポアソンの法則、コリオリの力など、掘り下げたところまで解説している。

特徴

  • 物理を本気で理解したい人向けのレベルの高い本である。
  • 入門とは言うものの高校物理のイロハを学ぶ等の初学者向けの書籍ではないので注意。五藤勝己先生は名前に騙された。
    • 敢えて言うならば『(大学で学ぶ)物理入門』である。ある人はこの本を『物理(学)入門』だとおっしゃった。したがって、高校の「物理基礎・物理」の知識をきちんと習得していることが必要となる。
    • 特に、既に数学、物理の学習を一通り終えている浪人生は買っておくべき。大学に入ってからも役に立つ良書。大学の教養課程、さらには専門でも使うことができる。
    • 物理を本気で理解して勉強したい人向けの本である。別に受かれば良いやという人は手を出す必要はない。
    • 一部の大学では講義の補助教材として採用しているほどであり、レベルの高さを察することができるだろう。
  • 関西駿台の物理の授業では微積を多用しないため、授業の補助用として買う際は注意した方が良い。
    • 微積を用いる先生の担当の場合は非常に役に立つ。
  • アマゾンでは賛否両論である。
    • 高校物理のいい加減さを払拭するような、真の理解ができて素晴らしいという評価もむろん多い。
    • 否定的な意見は以下のようなものである。
      • 教育的な配慮から高度な数学を使うことに対する違和感を表明する人も多い。
      • 物理で点をとれるようにするための本ではないので受験向きではないという意見も多い。
      • 似たような内容でも、一般向けの物理の概説書や大学の教科書・参考書で解説が丁寧で解り易いものが現在ではあるので、無意味に難解なこの本に手を出す必然性がない、という意見もある。
  • ・物理入門問題演習』は本書の演習編だが、入試問題という実例を通して学べるという点で本書よりもむしろ取り組みやすいかもしれない。
    • 基本演習で入試の基本テーマを網羅し、実戦演習で入試レベルまで高めることが出来る。記述演習は入試対策のレベルを少し越えていて、意欲的な人向け。
      • なお、記述演習には手書きの模範解答が付いているが、山本義隆先生の自筆ではないと思われる。
    • 本書と併用することが望ましいが、ある程度数学ができればこの問題演習だけでも十分勉強できる。問題演習から本書に戻るのもいいだろう。
      • 要項は本書との関連が深いが、問題の解答自体に微積分を使うところはあまりないため。ただし一次近似は断りなく使われるので注意。
    • 問題が古いのが気になるかもしれないが、範囲としては現行課程にも十分対応している。
      • 章立てやテーマの分類などは今の駿台ともかなり共通している。通期のテキストや模試などと比較して見ればよくわかるだろう。