駿台生入門
Sat, 16 May 2020 12:04:55 JST (1439d)
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本ページでは、駿台での生活や学習について、基本的な情報と心構えをアドバイスする。
はじめに
- 一年間の流れは大まかに次の通りである。
- 春期(3月)→前期(4〜6月)→夏期(7〜8月)→後期(9〜11月)→冬期(12月)→直前I〜III期(1〜3月)。
- 通年授業は、前期(全11週)と後期(全13週)に行われる。また、センター直後にも最終授業が1週行われる。
- 講習授業は、各時期(春期、夏期、冬期、直前各期)に行われる。別料金で任意の講座を選択して受講する。
- 高卒生の授業は午前4コマ午後6コマ(1コマ50分)。コマ間の休憩は10分で昼休みは40分。
- 英数国は、前期に分野全体を学習して基礎を固め、後期に基礎を確認しつつ応用力を養成する。1コマの授業が多く、担当講師が目まぐるしく変わる。
- 理科社会は、前期後期を通じて基礎を中心に分野全体を学習する。2コマ連続の授業が多く、また自分の選択科目の授業を受けるために教室移動がある。
- その他にも、志望大学別の講義や演習がある。また、毎日必ずしも10コマの授業が詰まっているわけではなく、空きコマの時間帯がある。
- 現役生の授業は50分×3コマの形式。コマ間の10分休憩では、クラスリーダーによる情報提供が受けられる。
- 各講座所定のカリキュラムに従って講義やテスト演習などを行う。受講する講座は任意に選べるが、Sα、S、Hレベルの講座の殆どにはレベル認定が必要である。
- 英数のSα、Sレベル講座の多くには『〇大演習プラス』が付いている。これは後期終講後に1回、センター試験明けに2回の計3回、志望大の予想問題演習を行うというものであり、別料金で受講できる。
- 講座の形式は50分×3コマだけでなく、50分×2コマ、50分×4コマ、テスト20分+65分×2コマなど、様々なパターンがある。担当講師の裁量で変わることもある。
- 授業のほかにも様々な施設・サービスがあり、休み時間や放課後などに利用できる。
一年間の流れ
→一年間の流れを参照。
教材
→通期教材の心得を参照。
文房具
- ペン類・・・標準的な太さの色ペン4色程度が必要。
- "色数''
- 色ペンは4色常備しておくのが望ましい。現役生も浪人生も、講習やイベントを含めれば1年間で多くの講師に教わることになる。授業のスタイルに拘りをもつ講師が多いが、色ペン4色(赤、青、緑、橙)があれば大体対応できる。ただし、5色以上の色ペンや蛍光ペンが必要になるケースも少なくない。
- ''太さ'"
色ペンの太さは標準的なもの(0.4〜0.5mm)が良い。駿台には情報びっしりのプリントを配布する講師が多く、ペンが太過ぎると上手く書き込めないケースが出てくる。逆に、スカスカのプリントを配る講師もおり、ペンが細過ぎると書き込みのバランスが悪くて読みにくくなるケースが出てくる。 - 注意事項
駿台には授業のスタイルに拘りを持つ講師が多く、板書上でチョークの色に意味を持たせたり、生徒側に色ペンの使い分けを指示してきたりするケースがある。初めは先生のやり方に従い、次第にそこから崩していくと、上手な受講スタイルを確立させやすい。
- ノート類・・・駿台は授業の種類が多いため、ルーズリーフの使用を基本とすると良い。
- 管理
駿台は授業の種類が多いため、どの授業の資料も共通の管理方法を取るようにすると良い。ノートの授業、プリントの授業、両方使う授業、予習復習でまとめた資料・・・・・・などとしているとごちゃごちゃになってくる。どの授業も「テキスト+ファイル」の形で管理し、クリアファイルの中にプリントとルーズリーフをまとめて入れておくと良い。 - 荷物
駿台は授業の種類が多いため、ノートばかりだと荷物が重くなって大変である。毎日の荷物もそうであるが、夏期などに復習でまとめて持ち運ぶのは大変であるし、後期以降もカバンの容量を圧迫し、自習教材や過去問を持ち運べなくなるケースが出てくる。しかし、ルーズリーフを使えば、荷物が軽量化し、復習時の持ち運びは必要なページだけで済み、カバンの容積も空く。 - 対応力
駿台は授業の種類が多いため、様々な授業に対応できるようにしておく必要がある。通期講座でも、プリント中心の授業やテスト演習の授業では時々しか板書を取らないので、ルーズリーフに写してプリントに挟んでおくと良い。通期以外でも、講習の1日完結講座やプレ演習講座、その他不定期に実施されるイベント授業などは、その度にノートを用意するより、ルーズリーフを用いた方が対応しやすい。 - カスタマイズ性
駿台は授業の種類が多いため、各々の授業の予習復習を効率的に行っていく必要がある。ルーズリーフを使えば、失敗したページを差し替えたり、削除したり、演習やまとめのページを継ぎ足したりできる。こういった自由度を武器に、勉強の効率を上げていくこともできる。 - 注意事項
ルーズリーフではなくノートを使うように指示してくる講師もいる。初回授業に出て、そのように指示する理由や実際の授業スタイルを確認した上で、どちらを使うか決断すること。その授業だけノートに変えるに足る理由があると思うならばそうすると良い。
- 管理
- ファイル類・・・全ての授業で、テキストのコピーや補助プリなどを整理するファイルが必要になる。
- 形式
各授業に1つ必要なので、クリアファイルを薦める。クリアファイルならば単価が安く、大量に買い込みやすい。また、中が透けて見えるものを使えば、どの授業のプリントを収納しているかが一目瞭然である。さらに、中身の取り出しが簡便であり、ルーズリーフの削除、差し替え、継ぎ足しがしやすい。 - サイズ
A4サイズを薦める。これ以上小さいと、大きいプリントが収納できなかったり、たくさんのプリントを収納できなかったりする。また、これ以上大きいと、プリントがファイルから抜け落ちやすくなり、紛失の元となる。 - 特筆事項
読解系の科目(=現古漢、英文読解)は、復習用に「書き込みなしの本文」を残しておくのが基本である。巻末に本文の再掲が無ければ、テキストが交付後にすぐ、全ての本文ページをコピーしてファイル内にストックすること。何度もコピー機に行く手間が省けるし、コピーがなくて予習ができないなどという事態も避けられる。
- 形式
- いずれにせよ文房具(ペン類・ノート類・ファイル類)が大量に必要なので予め準備しておくこと。特に寮生は、入寮前に十分な文房具代を用意しておくこと。
駿台での勉強
- 駿台では、授業を中心に据えた勉強を行うこと。特に、予習ー授業ー復習のサイクルと、反復のサイクルの確立を目指すこと。
- 授業の学習効果を上げるには、予習ー授業ー復習のサイクルの確立がカギになる。毎週、各授業の予習復習をいつやるのか決めておき、週単位でサイクルを回すこと。
- 中長期的に見ると、反復のサイクルを組むのも必須である。日々の授業の予習復習に追われるだけでは、成績は伸びていかない。模試や講習期間なども利用しながら、繰り返し復習を行うこと。
- 以上の2つのサイクルを以って、独学以上の勉強効率を上げていくこと。効率が劣るなら、わざわざ高い費用・時間をかけて駿台に通う意味はない。
予習ー授業ー復習
- 予習とは仕入れの下準備である。予習の目的は、授業での負担を減らすことだと心得ること。
- 駿台では予習が必須だと心得ること。駿台の授業は量的にも質的にもヘビーなので、予習によってその負担を軽減させておく必要がある。同時に、予習にかける時間は最小化すること。勉強時間はなるべく復習や反復に回したいところである。
- 予習では、次回の授業内容の全体像を掴み、分かる部分と分からない部分を仕分けておくこと。駿台の授業では多くの内容を扱うため、ゴールイメージをもっておいたり、分かる部分と分からない部分で受け方に緩急をつけたりできると、授業時の負担が軽減できて良い。(量への対応)
- 予習では、分からない部分をなるべく潰しておくこと。駿台の授業では難しい内容を扱うため、予習で手の届く範囲にあるわからない部分はなるべく潰しておきたい。また、演習問題についてもなるべく白紙にせず、事前に解答を作っておくことで、別解や研究などの発展的な内容にも対応できるようにしておきたい。(質への対応)
- 授業とは仕入れである。授業の目的は、講師の解説からできる限りの学びを得ることだと心得ること。
- 授業中は、授業の中身に集中すること。授業の受け方や、ノートの取り方など、あまり形式的なことにこだわりすぎるべきではない。なるべく本質を捉えながら(質の視点)、知識の取りこぼしがないように(量の視点)、授業を受けていくこと。
- 授業中は、講師の説明によく耳を傾け、メモを取ること。駿台の授業は、口頭の説明のみで済まされる部分も多いため、板書をただ書き写すだけでは不十分である。特に、板書の飛躍や漏れを補う一言と、補足の知識事項は聞き漏らさずにメモを取るようにしたい(質と量の担保)。
- 授業中は、ミクロな視点とマクロな視点を自在に切り替えること。たしかに、知識やポイントを一つ一つ習得していく意識は重要である。しかし、駿台の授業は理論がしっかりしているため、 話の前提条件や、軸・方向性を見失ったり、全体的な構造が掴めなかったりするのはよろしくない。
- 復習とは仕入れ後の整理・点検作業である。復習の目的は、学んだ内容を理解し、使いこなせるようになることだと心得ること。
- まず、板書の復習(インプット)を行うこと。
- 予習時のメモと板書を照らし合わせて、授業の内容をよくインプットすること。特に、論理構造の把握、知識の整理、予習で間違えたポイントの把握などを行うこと。必要に応じて、各自手持ちの教材も参考にすること。
- 同時に、板書の修正・整理を行い、数週間〜数ヶ月後の自分が復習できるようにしておくこと。特に、読めない字を訂正したり、板書の飛躍や漏れを補ったり、予習メモ内の必要事項を板書の方にまとめて情報を一元化したりすること。
- 板書を全て清書し直すのはなるべく控えること。もちろん必要な場合もあるだろうが、基本的に時間がかかりすぎるし、授業中に理解や整理ができていない(=ついていけていない)ことの裏返しでもある。むしろ授業の受け方や、そもそもの予習のクォリティにこそ問題があると考えるべきである。
- 次に、問題演習(アウトプット)を行うこと。
- 授業問題を何も見ずに自力で解き直すこと。理解した内容や覚えた知識をアウトプットしてみることで、習得の穴を見つけることができる。時間をかけても良いので、別解も含めて講師の解説通りの思考プロセスで解けるようになるまで極めること。
- 参考問題や自習問題、市販の参考書などを解くこと。数多くの類題演習をこなすことで、授業で学んだ内容を理解できたという状態から使いこなせるという状態にまで昇華させること。また、様々な類題演習をこなすことで、授業で学べていない内容についても派生的に理解し、使いこなせるようにしていくこと。
- まず、板書の復習(インプット)を行うこと。
反復
- 反復とは在庫の定期点検である。反復の目的は、中長期的なスパンで学んだ内容を定着させていくことだと心得ること。
- 反復においては、復習に時間を掛けるのも良いが、回数を積む方が大事である。
- 復習に時間がかかりそうな内容は、毎週の予習ー授業ー復習のサイクルの中で潰しきっておくのが望ましい。分からない部分を積み残しておいて、それをじっくりと調べたり考察したりするのは、反復のサイクル中では最小限に抑えたい。
- 反復の目的が中長期的なスパンでの定着である以上、復習の回数を大切にしたい。そのためには、多くの内容をスピード感をもってさばいていくことが求められる。あまり1つ1つの内容に時間を取ったり、深掘ったりするのは望ましくない。スピーディに要点を押さえていき、気になったところだけ深掘るような形が望ましい。
自習
- 駿台のテキストだけやっておけば大丈夫とよく言われる。ただし、配布されたテキスト、個人の実力、志望校の入試問題の難易度によっては各自で補う必要があることを認識しておこう。
- また、現実問題として、多くの者は駿台の授業の予習復習、反復だけで手一杯になる。自学自習以前に、予習ー授業ー復習のサイクルや反復のサイクルをどのように確立するのかという点が大きな問題になってくる。
- ただし、英単語、英語リスニング、古文単語などは個人で補う必要がある。
- これらは駿台のカリキュラムに組み込まれていない。英語関連、古文関連についてはこちらを参照。
- 演習問題など机に向かわなければならない学習はまとまった時間で、単語帳など机に向かわなくてもできる学習は細切れの勉強時間(通学時間や学習科目の入れ替え時、就寝前の時間など)で行った方が、時間の使い方として効率が良い。
- 過去問演習も個人で補う必要がある。
参考
- エビングハウスの忘却曲線
- 記憶した内容は、忘れかけたタイミングで復習すると定着率が上がるとされている。完全に忘れきってしまうといけないため、初めの1~2回は特に適切なタイミング(20分後~24時間以内、1週間以内)で復習すると良い。
- 記憶した内容は、復習を反復する毎に定着率が上がるとされている。毎週の予習ー授業ー復習のサイクルだけでなく、中長期的な視点を持った反復サイクルも確立する必要があるといえる。
- ラーニングピラミッド
- 最も吸収率の高い方法は人に教えることとされている。実際に友人と教え合いをしてみるとよい。また、1人で勉強する際にも「自分ならどう教えるか」を常に考えながら勉強すると良い。
- インプット作業(講義、読書、視聴覚)よりもアウトプット作業(演習、実験、討議etc.)の方が、吸収率が高いとされる。うまく理解ができなくて、いつまでも板書とにらめっこするくらいなら、とりあえず演習に進んでみるというのも一考。そこから気づけてくることもあるだろう。
- 記憶の干渉
- ある記憶が他の記憶によって影響されることを指し、互いに類似した記憶ほど干渉が起こりやすいとされる。 記憶の干渉は抑制と促進に分けられ、抑制の方が起こりやすいとされる。記憶の抑制により、学習内容の吸収阻害が起こり得る。
- 学習内容は1つ1つ確実に理解しきるようにし、疑問点を残すならばその内容はできる限り明確にしておくこと。いい加減な印象のまま放置しておくと、その曖昧な理解が後々、他の類似事項の学習に悪影響を及ぼすと考えられる。
模試
→模擬試験の心得を参照。